「夢」というつかみどころのないものに対する研究があらゆる分野でなされてきました。
夢を深層心理や潜在意識からのメッセージであると捉えたり、脳の情報処理の活動と捉えたり。また、夢は神聖なものであり、スピリチュアル的な意味があるなどと捉える人もいるようです。
心理学や精神分析での夢判断など、情報は無数にあります。
今回はハーバード大学医学部教授であり、マサチューセッツ精神衛生センター神経生理学研究所所長である医学博士、ドクター・アラン・ホブソン氏の「科学的視点」から夢についての「ウソ・ホント」についてまとめてみました。
目次
入眠時と熟睡時にみる夢は違う?
YES・寝入りばな、レム睡眠の夢に特徴があります。
答えはYESです。
入眠時には「揺れる」「リズミカル」な夢をみることが多いといわれています。
非日常的な体験をした日には特に、揺れたり、リズミカルだったりする夢をみやすい傾向があるようです。
海外では入眠時に「スキー」「釣り船に乗る」などの夢をみる人が多いとか。
入眠時(まだ脳が活性化している)には目覚めていたときの活動の一部が再現される夢もみやすいことが報告されています。
レム睡眠(寝入りばな)の夢の特徴は以下の通りです。
・短く不連続
・ストーリ性が低い
・矛盾が多い
色つきの夢をみるのは異常?
NO・色つきの夢のほうが多いというのが定説
睡眠実験室の調査によれば、現在は色つきの夢をみるほうが多く、色つきの夢をみるのが自然であると証明されました。
記憶に残りやすい長い夢は特に、カラーの夢が多いとのこと。
目覚めたときに覚えている夢で白黒の夢(色のない夢)の報告はほぼないといわれています。
消化不良で寝ると悪夢をみる?
NO・いくつかの条件が重なり悪夢をみる人もいる
19世紀の科学者たちが、睡眠中に脳が活性化する理由として、「消化不良」を要因としましたが、現在では悪夢と消化不良は無関係であるということが定説のようです。
とはいえ、
・胃痛や腹痛
・食べすぎ(暴飲・暴食)
などの条件が化学成分を分泌させ脳を覚醒させることは考えられますので、よい夢をみたい人は注意したいところです。
みる夢に男女差がある?
NO・男性も女性もほぼ同じような夢をみると判明
研究前には、男性は攻撃性と暴力性を含む夢、女性は友好的で穏やかな夢をみるのではないかと予想されました。
ですが、研究結果は「男女差なし」という意外な結論に。
精神分析の大家・ジークムント・フロイトが提唱した「夢は性的なものである」というのは誤りで、夢は「脳内現象」であるという結論に至りました。
男女の情動の差はなく、夢の奇怪さにも性差なしの研究結果が出ています。
明晰夢(めいせきむ)は精神に影響を及ぼす?
NO・明晰夢をみやすい時期とみられなくなる時期がある
「今、夢をみている…」
眠りながら夢をみていることを自覚する「明晰夢」
明晰夢をみると精神に変調をきたすなど、さまざまな俗説があるようですが、基本的に明晰夢をみることで精神の調子を崩すことはありません。
8歳から思春期あたりまでは誰でも明晰夢をみやすいことが解明されています。
ただ、それ以降になると明晰夢をみるのが難しくなるとか。
訓練することで明晰夢をみることはできるようです。
「明晰夢」をみるための訓練
・枕元にメモ帳を用意(スマホだと目が冴えてしまうため、紙のメモ推奨)
・夢の記録をする
・夢をみている最中、「現実的」ではないことに注目する、意識をとめる練習をする
これらの練習を積んでいるうちに心と脳の一部が目を覚まし、「夢をみている」と教えてくれるとのことです。
まとめ
入眠時と熟睡時にみる夢は違う
色つきの夢をみることは正常
消化不良で悪夢はみない、でも暴飲暴食や胃痛で悪夢をみることはある
夢に男女差はない
大人になると明晰夢をみるのは難しい。でも明晰夢をみるのは異常ではない
以上が現代の科学で解明されている夢に関するウソ・ホントでした。
「夢にミステリーはない」
『夢の科学 そのとき脳は何をしているのか?』の著者でハーバード大学医学部教授が到達した結論でした。
今夜、あなたの夢見がよいものでありますように。
ここまで読んでいただきどうもありがとうございました。
参考文献
『夢の科学 そのとき脳は何をしているのか?』(ブルーバックス)アラン・ホブソン著・冬樹純子訳