「しっかり寝たのに朝から身体が重い」「夜中に何度も目が覚めてしまう」──そんな睡眠に関する悩みを抱えている人は少なくありません。
実際に、現代人の多くはスマートフォンやパソコンの使用、夜型の生活習慣、ストレスなどによって、十分な睡眠時間を確保していても『睡眠の質』が下がっていることがあります。
では、どうすれば質の高い睡眠をとることができるのでしょうか?
その答えのひとつが、「飲み物」です。寝る前に口にするものが、心と体をリラックスへと導き、より深く穏やかな眠りにつながる可能性があります。
この記事では、自宅で簡単に作れるドリンクから、コンビニやスーパーで買える市販品まで、「睡眠の質を上げたい人」に役立つ飲み物を幅広くご紹介します。
日々の習慣を少し変えるだけで、眠りの満足感は大きく変わるかもしれません。ぜひ参考にしてください。
目次
睡眠の質と「飲み物」の関係|なぜ影響するの?

「飲み物」と「睡眠」。一見すると直接的な関係がなさそうに思えるかもしれません。しかし実際には、寝る前に何を飲むかによって、心身の状態が変化し、眠りの質に影響を与えることがあります。
特に、就寝前の時間帯は「交感神経(活動モード)」から「副交感神経(休息モード)」へ切り替えることが、スムーズな入眠につながると考えられています。そんな切り替えをサポートする手段のひとつが、“飲み物”というわけです。
では、なぜ飲み物が睡眠に影響を与えるのでしょうか?その理由は主に以下のような点にあります。
- 体を内側から温めてリラックス状態へ導く
温かい飲み物をゆっくり飲むと、身体の中心温度(深部体温)を一時的に上げ、そこから徐々に下がっていく過程で自然な眠気が訪れやすくなります。特に寒い季節や冷えやすい人には効果的な習慣です。 - 水分補給で夜間の軽度な脱水を予防
睡眠中はコップ1杯分(約200ml)の水分が失われるといわれています。寝る前に適度な水分を摂ることで、喉の渇きや脱水による不快感を防ぎ、快適な睡眠環境を整えることができます。 - 香りや味覚の刺激が気持ちを落ち着ける
カモミールやレモンバームといったハーブティー、ココアやミルクのまろやかな香りには、日中の緊張をやわらげる感覚を持つ人も多くいます。飲むという行為自体が「一息つく」きっかけとなり、眠るためのスイッチを入れる役割を果たします。 - 「飲む」という習慣が、睡眠へのスイッチになる
就寝前に特定の飲み物を飲むことが習慣化されると、脳が「そろそろ寝る時間」と認識しやすくなります。これはいわば、眠りにつくための“儀式”のようなもの。毎晩のルーティンとして取り入れることで、自然と入眠の準備が整うのです。
ただし、すべての飲み物が睡眠に良いとは限りません。カフェインやアルコール、糖分の多い飲料など、選び方を間違えると、逆に眠りを浅くしてしまうこともあります。
だからこそ大切なのは、「何を」「いつ」「どのように」飲むかということ。
このあとご紹介する飲み物リストでは、それぞれの特徴や飲むタイミング・おすすめの量などもあわせて解説しています。あなたに合った1杯を見つけて、毎日の眠りをやさしく整えていきましょう。
【自宅で簡単に作れる】睡眠の質をサポートする飲み物5選

市販品に頼らず、家で手軽に用意できる快眠ドリンクはたくさんあります。
余計な添加物を避けたい方にもおすすめです。ここでは、手軽さと飲みやすさを重視した5つの飲み物と、その作り方をご紹介します。
1. 白湯(さゆ)
沸騰させたお湯を少し冷ますだけ。体の中からやさしく温めてくれる定番ドリンク。
作り方
・水をやかんや鍋で沸騰させる(約5〜10分)
・湯呑みに注ぎ、50〜60℃くらいまで冷ましてからゆっくり飲む
ポイント
・寝る30分前を目安に1杯飲むと◎
・カップを両手で包むように持つとリラックス感UP
2. ホットミルク
やさしい甘みと温かさで、気持ちをほっと落ち着かせてくれます。
作り方
・牛乳150mlを電子レンジ(600W)で1分加熱
・好みではちみつを小さじ1/2ほど加える(加熱後に)
ポイント
・温めすぎると膜が張るので注意
・甘さは控えめにして胃にやさしく
3. ホットココア(無糖タイプ)
ココアの香りとまろやかさは、寝る前のリラックスタイムに最適です。
作り方
・牛乳150mlに純ココア小さじ1を加えてよく混ぜる
・中火で温め、沸騰前に火を止めて完成
ポイント
・砂糖を入れるなら控えめに
・牛乳以外にオーツミルクでも代用可
4. ハーブティー(カモミール・レモンバームなど)
香りのチカラで心を落ち着けてくれる、ノンカフェインのお茶。
作り方
・ティーカップにティーバッグを入れ、熱湯を注ぐ
・フタをして3〜5分蒸らすと香りが引き立つ
ポイント
・ノンカフェイン表示を必ず確認
・夜は温かい状態でゆっくり楽しむ
5. 甘酒(ノンアルコール)
栄養豊富でやさしい甘みが特徴。特に米麹から作られた甘酒がおすすめです。
作り方
・市販の甘酒(ノンアルコール)を100〜150ml用意
・電子レンジで軽く温める(600Wで40〜50秒)
ポイント
・「米麹タイプ」「ノンアルコール」と表示されている商品を選ぶ
・お好みで少量の生姜を加えると体がさらに温まります
【コンビニ・スーパーで買える】睡眠前におすすめの飲み物5選

「忙しくて手作りする時間がない」「手軽に試したい」──そんな方には、コンビニやスーパーで買える市販の飲み物がおすすめです。
どれも特別な準備が要らず、すぐに取り入れられるものばかり。ここでは、寝る前にぴったりな5種類をご紹介します。
1. ヤクルト1000
話題のヤクルト1000は、乳酸菌飲料の中でも睡眠の質を高めることを意識した機能性表示食品として知られています。コンビニやスーパーでも見かけることが増えており、仕事終わりに1本買って飲む人も多いようです。
飲み方: 就寝1時間ほど前に1本(100ml)をゆっくり飲むだけ。冷蔵保存のため、冷たすぎないよう少し置いてから飲むのも◎
2. GABA配合飲料(チルアウトなど)
「CHILL OUT」などのGABA入り清涼飲料水は、ノンカフェイン・炭酸控えめで、リラックス志向の方に人気。缶やペットボトルで手軽に飲めるため、寝る前の新習慣として取り入れている人もいます。
飲み方: 冷えたまま飲んでもOKですが、刺激が気になる方は常温がおすすめ。炭酸が苦手な方はGABA入りのノン炭酸飲料も検討してみてください。
3. トマトジュース(無塩)
トマトに含まれる成分が気分を整えたいときに向いているという声も多く、寝る前の水分補給としてもおすすめ。なるべく「無塩タイプ」を選ぶと、塩分過多を防げます。
飲み方: 冷蔵庫から出してすぐ飲むと冷えすぎるので、少し常温に戻してから飲むのが理想的。
4. ルイボスティー
ノンカフェインでクセが少なく、男女問わず人気のあるルイボスティー。ペットボトルやティーバッグでも手に入りやすく、ホットでもアイスでも楽しめます。
飲み方: 就寝前は温めて飲むのがおすすめ。市販のものを電子レンジで軽く温めてもOKです。
5. ホット麦茶(ノンカフェイン)
夏の冷たい飲み物というイメージの麦茶ですが、温めて飲むと体がほっと緩むような感覚が味わえます。ノンカフェインで刺激も少ないので、寝る前にも安心です。
飲み方: 市販の麦茶(ペットボトル)をカップに移して温める、もしくはティーバッグで淹れるだけ。
ポイント: 香ばしさが心地よく、毎日続けやすい味わいです。
寝る前に避けたい飲み物|知らずに眠りを妨げているかも?

睡眠の質を上げるためには、寝る前に「何を飲むか」だけでなく「何を飲まないか」も大切なポイントです。
実は、普段何気なく飲んでいる飲み物が、知らず知らずのうちに入眠を妨げたり、夜中の目覚めの原因になっていることもあります。
ここでは、特に寝る前に避けたい代表的な飲み物と、その理由について詳しくご紹介します。
1. カフェインを含む飲み物
カフェインには覚醒作用があり、集中力を高めたり眠気を抑えたりする働きがあるため、朝や昼の活動時間には役立つ成分です。
しかし、夜に摂取すると、その作用が数時間続くこともあり、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりする場合があります。
カフェインが含まれる主な飲み物には、以下のようなものがあります。
- コーヒー
- 紅茶・緑茶・ウーロン茶
- 抹茶系ラテ・カフェラテ
- エナジードリンク
- コーラや一部の炭酸飲料
カフェインの感受性には個人差がありますが、一般的には寝る6時間前以降は避けた方がよいとされています。夜のリラックスタイムには、ノンカフェインの飲み物を選ぶのがおすすめです。
2. アルコール飲料
「お酒を飲むとすぐ眠れる」という声もありますが、これは一時的な作用によるもの。実際には、睡眠の後半に浅くなりやすく、中途覚醒が増える傾向があります。
また、アルコールには利尿作用もあるため、夜中にトイレに行きたくなって目が覚める原因にもなりかねません。
毎晩のように寝酒を続けると、睡眠リズムが乱れやすくなる場合もあるため、寝る前のアルコール習慣は見直す価値があるでしょう。
3. 糖分の多い清涼飲料水
市販のジュースや加糖されたドリンクには、糖分がたっぷり含まれているものが少なくありません。
寝る前にそういった飲み物を摂ると、血糖値が急激に上下し、眠りのリズムに影響を与える可能性があります。また、就寝中に胃腸が活動し続けることで、睡眠の深さが妨げられることも。
以下のような飲み物は、夜よりも日中に楽しむのが良いでしょう。
- 加糖タイプのスポーツドリンク
- 果汁入り清涼飲料(オレンジジュース、りんごジュースなど)
- 加糖コーヒー・加糖紅茶
4. 冷たい炭酸飲料・刺激の強い飲み物
炭酸の刺激や冷たさが胃腸を刺激し、かえって目が覚めてしまうこともあります。
特に冷蔵庫から出したばかりのキンキンに冷えた炭酸飲料は、体温を下げたり、胃に負担をかけて眠りを妨げる可能性があるため注意が必要です。
「爽快感が欲しいから炭酸を飲みたい」という場合は、常温に戻す・ノンカフェインの微炭酸飲料を選ぶなど、ひと工夫してみましょう。
5. 水分の摂りすぎにも注意
適度な水分補給は快眠に役立ちますが、飲みすぎると就寝中にトイレに行きたくなってしまうことも。これは特に、睡眠の深い時間帯に目が覚めてしまう原因になりがちです。
寝る前に飲む量は、コップ1杯(150〜200ml)程度が目安。のどの渇きを感じたときだけ、少しずつ飲むようにすると安心です。
「避ける」ことも快眠への近道
快眠をサポートする飲み物を取り入れるのと同じくらい、「眠りを妨げる可能性がある飲み物を控える」ことも大切です。
夜はなるべく刺激の少ない、やさしい温度と成分の飲み物を選びましょう。ちょっとした選択の積み重ねが、あなたの眠りをより良く整えてくれます。
飲むタイミングと量も大切|快眠につながる「飲み方」の工夫

睡眠をサポートする飲み物を選ぶ際、「どんな飲み物を選ぶか」に加えて、「いつ」「どのくらい」「どんな風に」飲むかも非常に重要です。
良い飲み物でも、タイミングや量を間違えると、かえって眠りを妨げてしまうことがあります。
ここでは、飲み方のコツや注意点について詳しく解説します。
1. 飲むタイミングは「寝る30分〜1時間前」が目安
就寝の直前ではなく、寝る30分〜1時間ほど前に飲むことで、体がリラックスモードに切り替わりやすくなります。
特に温かい飲み物は、飲んだ直後に一時的に体温が上がり、その後ゆるやかに体温が下がっていく過程で眠気が訪れやすくなると考えられています。
飲んですぐにベッドに入るより、飲んだ後に少しストレッチや読書など、静かな時間を過ごしてから就寝するのがおすすめです。
2. 飲む量は「コップ1杯(150〜200ml)」が理想
就寝前の水分摂取は、多すぎても少なすぎてもNGです。摂りすぎると夜中にトイレに行きたくなり、眠りが中断されてしまう恐れがあります。
のどを潤す程度のコップ1杯(150〜200ml)を目安に、ゆっくり飲むようにしましょう。
また、ゴクゴク一気に飲むのではなく、時間をかけて口に含みながら、リラックスする感覚を大切にすることがポイントです。
3. 飲み物の「温度」も意識しよう
冷たい飲み物は体温を下げたり、胃腸に負担をかけたりする可能性があります。睡眠前には、常温〜ぬるめ(50〜60℃程度)の温かい飲み物が最適です。
電子レンジで軽く温めたり、熱湯を少し冷ましてから飲むだけで、体がじんわり温まり、リラックスしやすくなります。
4. 飲み物を「習慣化」することで、眠りのスイッチに
毎晩同じ時間帯にお気に入りのドリンクを飲む習慣を作ると、脳や体が「もうすぐ寝る時間だ」と認識しやすくなります。
これはいわば“眠る前の合図”のようなもの。お気に入りのカップを使ったり、照明を暗くしたりするなど、飲み物を中心としたナイトルーティンを整えることで、自然と眠りやすい環境が整っていきます。
まとめ|飲み物は“心地よい眠り”へのサポート役
どんな飲み物を選ぶかも大切ですが、「どう飲むか」も睡眠の質に直結する大事な要素です。
寝る前の飲み物は、ただ喉を潤すだけでなく、1日の疲れをリセットし、心身を整える“儀式”として活用してみましょう。
心地よい眠りのために、あなたに合ったタイミング・量・飲み方を見つけてみてください。
目的別|睡眠前のおすすめ飲み物 早見表
目的 | おすすめ飲み物 | おすすめポイント |
---|---|---|
体を温めてリラックスしたい | 白湯、ホットミルク、ホット麦茶 | 内臓からじんわり温めて、緊張をほぐす |
香りで心を落ち着けたい | カモミールティー、レモンバームティー、ルイボスティー | ハーブの香りで副交感神経が優位に |
気軽に市販品で試したい | ヤクルト1000、GABA飲料、トマトジュース | 準備不要、仕事帰りにもコンビニで購入可 |
甘さを楽しみつつ眠りにつきたい | 甘酒(ノンアルコール)、ホットココア | 自然な甘みがリラックスにつながる |
まとめ|「飲み物習慣」で眠りの質をやさしく整える
この記事では、睡眠の質をサポートする飲み物を「手作り編」と「市販編」に分けてご紹介しました。どれも特別な材料や難しい手順はなく、今日から取り入れられるものばかりです。
ポイントを振り返ってみましょう。
- 就寝前の飲み物は、カフェインレス・常温〜ホット・甘さ控えめが基本
- 白湯やホットミルク、ハーブティーなどは手軽で習慣化しやすい
- ヤクルト1000やGABA飲料など、市販品も選択肢のひとつ
- 寝る30分〜1時間前に、リラックス時間とセットで取り入れるのがコツ
「なんとなく眠れない」「ぐっすり眠りたい」と感じたら、まずは飲み物から見直してみませんか?
無理なく続けられる快眠習慣が、毎日のコンディションを少しずつ整えてくれるはずです。