受験勉強や緊急を要する仕事など、睡眠を削ってまでも優先しなければならないことが、人生の中では、しばし起こります。
しかし、徹夜や短時間の睡眠が続くと、どうしても翌日の日中のパフォーマンスが著しく落ちてしまいます。
そこで登場するのが仮眠です。
戦略的で効果的な仮眠は睡眠の不足を補うだけでなく、日中のパフォーマンスを著しく向上させることができます。今回はそんな最強の仮眠術を紹介していきましょう。
目次
怖すぎる睡眠不足!5時間以下の睡眠で脳機能が低下する
徹夜で勉強や仕事をすることは、勤勉を美徳とする日本人の顕著なライフスタイルですが、実は大きなリスクもともないます。
睡眠の不足は日中のパフォーマンスを落とすだけでなく、脳機能の低下を起こすのです。
睡眠の不足で頭が回らないという経験は多くのひとが感じるところです。
睡眠評価研究機構の白川修一郎代表は、「睡眠時間が5時間を切る日が続くと、脳はチューハイを数杯飲んだときと同じくらい機能が低下する」と述べています。
つまり、睡眠時間が少ないと「ほろ酔い状態」と同じ脳の状態になってしまうということです。
そうなると重要な試験や仕事の時に能力が発揮されず、大きなミスを犯してしまう可能性があります。
せっかく睡眠を削って努力したにもかからず、本番で失敗してしまったら本当に悔しいですよね。
そんな時にあなたの救世主になってくれるのが効果的な仮眠です。
世界の一流企業がこぞって仮眠を奨励している!
Google や Apple 、Microsoft と言った誰でも知っている世界の一流企業が、専用の仮眠スペースや快眠マシーンを導入して、社員に仮眠を強力に推奨しています。
それは仮眠が集中力や認知機能を高め、さらには創造力も高めることを知っているからです。 睡眠の不足による日中の眠気は 脳が疲労している結果であり、脳の機能が著しく低下している証拠です。
そのような状態で斬新なアイデアや創造力、自由な発想が生まれるとは到底考えられません。
アップル創業者のスティーブジョブスは、「仮眠ができないような会社には来たくない」という名言を残しています。
世界の一流企業が仮眠を奨励するのは、仮眠によって社員の創造性や生産性が著しく向上し、企業が飛躍することを確信しているからでしょう。
睡眠不足のあなたを救う最強の仮眠術!パワーナップとは
今、世界的に注目を集めている最強の仮眠術があります。それがパワーナップ(積極的仮眠)です。
社会心理学者のジェームス・マース氏が提唱した短時間仮眠法です。
シンプルに言ってしまえば短時間の積極的仮眠(昼寝)をとるということです。
しかし、このパワーナップには驚きの 効果が秘められていました。
パワーナップの科学的効果を実証したNASA(アメリカ航空宇宙局)
睡眠研究の歴史は新しく、近年になってから急速に進んでいます。特に代表的なのは NASA (アメリカ航空宇宙局)による実験です。 代表的なものでは、1995年から始まった NASA Napsという睡眠研究があります。
この実験で宇宙飛行士に対して、昼に26分間の仮眠をとってもらいました。その結果、認知能力が34%、注意力も54%向上することがわかりました。
パワーナップが脳に及ぼす影響とその効果!
パワーナップの効果は実際、夜の睡眠の3倍もあるとされています。
しかし、なぜそこまで著しい効果があるのでしょう か、その鍵になっているのが深い睡眠時に現れるノンレム睡眠です。
入眠時のノンレム睡眠に鍵がある
人間の睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠があり、これを交互に繰り返しています。
レム睡眠は浅い睡眠で眼球が動くのが特徴です。
この時、脳の活動はある程度活発で夢を見ていますが、 逆に体は筋肉の緊張がほぐれ、ぐったりとした状態です。
つまりレム睡眠は体を休ませる役割で「体の眠り」とも言われています。
ノンレム睡眠は深い睡眠の状態で、その深さからステージ1から4に分かれています。
役割としては脳を休ませることで、別名「脳の眠り」と言われています。入眠時はまず、このノンレム睡眠から始まります。
そして入眠20分ほどに現れるステージ2では、脳内のキャッシュがクリアされることが分かっています。
これによって情報の整理や記憶、優先順位をつけているキャッシュメモリが強化されることがわかりました(カリフォルニア大学神経科学者・マシューウォーカーの研究)。
しかし入眠から30分経過してしまうとステージ4の深い睡眠に移行してしまいます。
そうなると目覚めが悪く、起きた後も頭がぼーっとして仕事に集中出来なくなります。
パワーナップでは、20分前後の仮眠で切り上げることが最も重要になります。
パワーナップの5つの具体的メリット
パワーナップがもたらす具体的なメリットとしては、どのようなものがあるのか具体的にあげていきましょう。
メリット1 | 疲れが取れ、頭がすっきりする。 |
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メリット2 | やる気がアップする。 |
メリット3 | 作業の効率が上がる。 |
メリット4 | 集中力、判断力、理解力がアップする。 |
メリット5 | 自由な発想が生まれやすい。 |
パワーナップによって上記の5つのメリットがもたらされます。
これだけの効果が期待できるのですから、やってみない手はありません。
パワーナップのやり方!
質の高い仮眠を取るには姿勢や周りの状況など、環境的要因に十分注意することが必要です。
その辺を考慮して、ここでは具体的にパワーナップのやり方を紹介します。
座った状態で仮眠をとる
パワーナップでは「横になって寝ない」ということが重要になります。
横になるとそのまま深い眠りに落ちる危険があります。
横にならないことで首にある交感神経が適度に刺激され、交感神経が覚醒状態を維持しようとするので、深い眠りに落ちるのを防いでくれます 。
推奨される姿勢としては、椅子の背もたれに寄りかかったり、あるいは机に突っ伏した姿勢で寝るのがベストです。
仮眠のベストタイミングは昼休み
仮眠のベストタイミングは昼休みです。食後の昼休みだったら、ある程度まとまった時間が取ることができます。
昼下がりの 眠気を防いだり、午後の仕事に集中するのに最もよいタイミングです。
特に注意するのは夕方頃の仮眠です。この時間帯に仮眠をしてしまうと夜の睡眠に悪影響を及ぼしてしまいます。
光をできるだけさえぎる
明るすぎる場所は眠りを阻害してしまいます。
窓際などを避けて奥のほうに座ったり、アイマスクをつけるなど工夫して、光はできるだけ遮りましょう。
静かすぎず、うるさ過ぎず
音にも注意が必要です。
話し声が聞こえたり、笑い声が聞こえたりでは気になって眠れません。
また、逆にしーんと静まり返っていても眠りにくいものです。
眠りやすいとされているのは、「ホワイトノイズ」と言われる音で、風の音や波の音のような人が心地よいと感じる雑音です。
オフィスやカフェなど周りが騒がしいと感じる場所で、仮眠をとる時には 、ホワイトノイズを聞けるようなスマホアプリを利用するのもおすすめです。
仮眠の前にコーヒーを飲む
仮眠の前にコーヒーを飲むと、仮眠がとりやすくなります。
しかし、コーヒーにはカフェインが入っているので、逆に覚醒してしまうのではと疑問を持たれる方が多いでしょう。
しかし、その心配はありません。カフェインを含む飲料は実際に覚醒作用が起こるまでに、20~30分かかります。
パワーナップでは20分前後 の仮眠ですので、それ自体を妨害することはありません。
むしろ仮眠がちょうど終わったタイミングで、すっきりと起こしてくれる効果があります。
まとめ
今回は「忙しくてどうしても睡眠時間が取れない!」と悩んでいる人に向けて、最強の仮眠術であるパワーナップ(積極的仮眠)を取り上げました。
今回、調べてみて短時間仮眠にこれほどの効果があることに驚かされました。
パワーナップならあなたのライフスタイルに革命が起きるかもしれません。
もちろん、 時間が許すなら、健康に良いとされる7時間から8時間の睡眠を夜にキッチリとることがベストですが 、どうしても時間がとれない方はぜひ、このパワーナップ(積極的仮眠)を実行することをお勧めします。