3つ難読漢字に挑戦です!
「衵」「澪標」「艫」
あなたは何と読みますか?
目次
1個目の漢字はこれ!「衵」
ひとつめは「衵」です。
よく知ってる「祖」「祝」に似てますが…
よく見ると違う!
「衵」の読み方のヒントは?
1.「衵」をひらがなにすると3文字になります。
2.日本の伝統芸能やきものが好きな人は知っているかもしれません!
3.『娘はその時、紅の衵を御褒美に頂きました』芥川龍之介「地獄変」より引用
正解は…
正解は「あこめ」でした!
「衵」の音読みは「ジツ」、訓読みは「あこめ」「ふだんぎ」です。
日を白にして、「袙」と書いても正解ですよ!
「衵」とは、装束の下着、または普段着や肌着を意味します。
平安時代の大人にとっては重ね着の一部でしたが、幼い子どもたちは衵だけで過ごすこともあったのだそう。
『わらはべなど、をかしきあこめすかたうちとけて』源氏物語より引用
「衵扇」とは?
平安時代の巻物を見ると、宮中の女房たちはみんな美しい扇を手にしています。
あの扇は「衵扇(あこめおうぎ)」と呼ばれます(男性用は檜扇)。
薄い檜(ヒノキ)の板を扇状にまとめて、吉祥柄が描かれた「衵扇」は、メモするとき、顔を隠すとき、物の受け渡しの際など、日常的に愛用されていたそうです。
和紙を貼った現代の扇のルーツといわれていますよ!
2個目の漢字はこれ!「澪標」
「澪標」を何と読みますか?
誰もが日常的に使う言葉ではありません。
さあ、3つのヒントから連想してみましょう!
「澪標」の読み方のヒントは?
1.「澪標」をひらがなにすると5文字になります。
2.「澪標」は、大阪市の市章に定められています!
3.『壽司屋の鮨の配列、鳥屋の招牌の澪標』木下杢太郎「京阪聞見録」より引用
正解は…
正解は「みをつくし」でした!
「澪標」とは、船が往来する際の目印にする杭のことです。
船に水脈や水深を知らせる航路標識ですね!
「水脈(みを)つ串し」が語源といわれています。
また、耐え忍ぶイメージから、和歌では「身を尽くし」という意味で用いられます。
例:『わびぬれば 今はた同じ 難波(なには)なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ
』百人一首より
昭和60年に大ヒットしたドラマのタイトルでもあります。
ドラマは醤油屋の娘と網元(網元)の息子とのせつないラブストーリーでした。
どうして「澪標」が大阪市章に?
大阪市の市章(シンボルマーク)は「澪標」です。
大阪市の発展は大阪湾(昔は難波江)の海運によるところが大きいため、明治27年に制定されました。
大阪市港区海岸通のキャプテンラインには、真っ赤な「澪標モニュメント」があります!
3個目の漢字はこれ!「艫」
最後の難読漢字クイズは「艫」。
画数は22画、漢検1級の漢字です。
艦隊の「艦(かん)」に似ていますが…
読めて書けたら素晴らしい!
「艫」の読み方のヒントは?
1.「艫」をひらがなにすると2文字になります。
2.「艫」は英語で stern 、ポルトガル語で popa です。
3.『一人は艫にいて網か綱のようなものを曳き、』肌色の月 (新字新仮名) / 久生十蘭
正解は…
正解は「とも」でした!
「艫」は船尾、船の後方のことを意味します。
音読みは「ロ」「リョ」、訓読みは「とも」「へさき」、22画の漢字です。
「艫」は「へさき」とも読みますが、「舳先」と書いても同じく「へさき」と読みます。
読みは同じですが、「舳先」と書いた場合は船の前方を意味します…ややこしいですね。
ついでに船の横側は船端(ふなばた)」!
「まとも」と「艫」の関係
船の帆が、後ろから吹いてくる風を受けると、船は真っすぐ前に進みます。
この現象を昔の船乗りたちは「真艫(まとも)」と呼んだのだそう。
「真艫」は、まともに生きたい、まともじゃない、などの「まとも」の語源という説があります。
例:『真艫に光を射りて、眩きまでに白し。』石井研堂「大利根の大物釣」より引用
現代では「まとも」を真面、正面と書くのが一般的です。