「十分な睡眠が大事」
「寝ないと体や心に不調が出る」
などと耳にしたことがあると思います。しかし、睡眠がなぜ大切なのか、そもそも「睡眠」って何なのか、疑問に思いませんか?
この記事では、そもそも眠りは何なのか簡単に説明していきます!
目次
眠りとは「万能薬」です!
実は「人がなぜ眠るのか」と言う眠りの謎はつい最近になるまで解明されていなかったのです。
人は寝ている時、食事も学習も人付き合いもできない。となると、睡眠は無駄であると考えられ、進化の過程で無くなるべき機能だと考えられます。
しかし、それでもなくならなかったのは、睡眠が人間の全ての調子を整える「万能薬」であるからなのです!
人は眠ることで臓器や脳がきちんと機能するようにできているのです。
しかし、この万能薬を摂るか摂らないかは、自分たち次第であり、多くの人はきちんと摂取することを選ばないのです。
では、実際に寝ている時に何が起こっているのか、眠りを解明していきます!
(参考:『睡眠こそ最強の解決策である』マシュー・ウォーカー)
寝ている間なにが起こるの?
眠ることがなぜ大切なのか、その疑問を晴らすためには、寝ている間に何が起こっているのかを知る必要があります。
ここでは「寝ている時実際何が起こっているのか」について簡単に説明していきます!
記憶スペースの容量確保
人生では様々な変化があるため、記憶も常に更新していく必要があります。
睡眠では記憶スペースの容量不足を解消する働きがあるのです!
毎日更新していくためにも睡眠を取ることは必要不可欠なのです。
情報を整理する
記憶スペースの確保に近い内容ですが、情報整理も睡眠の大きな働きの1つです。
これにはノンレム睡眠が深く関わっています。
ノンレム睡眠とう深い眠りでは、短期的に保管されている記憶が長期的に記憶される場所に届けられます。
つまり、この深い眠りが取れていないと、起きている時に受け取った様々な外側の情報が整理や移動がされず、しっかりと記憶が脳に刻まれないのです。
情報を定着させる
ではレム睡眠は何をするのか?
はじめにいうと、レム睡眠は浅い眠りで、夢を見ている状態ではこのレム睡眠の段階なのです。
レム睡眠では起きている時に受け取った情報を振り返り統合するのです。
起きている時の情報と異なるのは、この情報は下界からの情報ではなく、脳内の感情、同期、記憶といった内部の情報が脳内のスクリーンに映し出されているのです。
身体の休息になる
実は夢を見ている間、体は麻痺した状態になります。
そして、レム睡眠の間に体が完全に動かないおかげで、人間は夢の内容を実際に行動に起こさなくて済むのです。
もし、この間に脳が体を麻痺状態にしなければ、体は常に緊張状態になってしまいます。
深睡眠を眠り始めてから4時間以内に2回以上とるには、「深部体温」という体内の温度を下げる必要があります。
深部体温は、一度上がったあとに下がる性質があります。そのため、眠りたい90分前に40度のお風呂に浸かることで、ちょうど眠る頃に深部体温が下がります。
(参考文献:誰でも簡単にぐっすり眠れるようになる方法/白濱 龍太郎)
(参考文献:スタンフォード式最高の睡眠/西野精治)
6時間睡眠では脳にダメージがある?
予防医学の見解では「7時間睡眠が理想的で、6時間睡眠は脳に深刻なダメージを与える」とも言われています。
これは、上記で説明した「ミドルスリーパー」の人の話といえます。
6時間睡眠は7時間睡眠と比べて脳の老化が2倍のスピードで進むという研究結果が出ていたり、6時間睡眠が続いて睡眠不足が蓄積されていくと、飲酒したほろ酔い状態と同じになるという研究結果が出ています。
私たちのおよそ8割が「ミドルスリーパー」に属すると言われているため、基本的には7時間眠るのが良い場合が多いです。
特に、7~8時間の睡眠で病気にかかるリスクが大幅に減るというデータも出ているため、7 ~8時間眠れば健康に悪影響があるということはないでしょう。
(参考文献:疲れない脳を作る生活習慣/石川善樹)
就寝と起床の時間をメモすることで最適な睡眠時間がわかる
寝た時間と起きた時間を、それぞれ14日分メモすることでご自身にとっての最適な睡眠時間が判断しやすくなります。
メモには、その日のパフォーマンスがどうだったか(例:日中眠くなった、夕方からやる気が出なくなった、など)も記載します。
14日が経過した時点で、就寝時間・起床時間・睡眠時間の平均をとります。14日間のパフォーマンスが悪くなければ、この平均値が最適な就寝時間・起床時間・睡眠時間に近くなります。(参考文献:一流の睡眠/裴英洙)
ただ、これはあくまでパフォーマンスが保てるという観点からの話です。
健康維持という観点からは、病気のなるリスクは7~8時間前後の睡眠時間が最も低いというデータが出ています。
最適な睡眠時間は遺伝で決まる?
4時間睡眠でも平気なショートスリーパーのアメリカ人親子を調べた研究では、対象者の「時計遺伝子」という遺伝子に変異があることがわかりました。
これを受けて、同じく変異した時計遺伝子をもつマウスで実験をしたところ、やはりこちらも睡眠時間が短くても元気という研究結果が出ました。
これらのことより、遺伝的に変異がある動物は睡眠欲求が弱まり、短時間睡眠にも耐えられるという説が提唱されています。つまり、ショートスリーパーは遺伝による場合が多いです。
短時間睡眠が続くと辛くなる場合はショートスリーパーではないのでしっかりと睡眠時間を確保するべきです。
また、ショートスリーパーの人口割合は非常に少なく、ほとんどの人はショートスリーパーではないという統計も出ています。
(参考文献:スタンフォード式最高の睡眠/西野精治)
加齢によって実際の睡眠時間は短くなっていく
厚生労働省のガイドラインには、加齢によって実際に眠れる時間が短くなっていくという説明がありました。
詳しく解説していきます。
加齢によって朝方に変わっていく
年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
必要な睡眠時間は人それぞれ
睡眠時間は加齢で徐々に短縮
年をとると朝型化 男性でより顕著
日中の眠気で困らない程度の自然な睡眠が一番
厚生労働省の指針によると、上記のように「加齢によって睡眠時間は短くなっていくのが一般的」と解説されています。
また、男性はより朝方化の傾向が強く、基本的には日中の眠気で困らない程度の自然な睡眠が良いと書いてあります。
【年齢別】眠ることのできる時間
実際に眠れる時間 | |
10代前半 | 8時間以上 |
25歳 | 7時間 |
45歳 | 6.5時間 |
65歳 | 6時間 |
夜間に実際に眠ることのできる時間は、年齢によって上記のように変わっていきます。
そのため、「どうしても8時間寝なきゃ!」と焦るのではなく、年齢によっても実際に眠れる時間が短くなっていくことも知っておいて下さい。
傾向としては、健康な人は20年ごとに30分ずつ睡眠時間が短くなっていくようです。
理想の睡眠時間についてまとめ
- 睡眠のタイプは3つに分かれ、8割の人は6~9時間睡眠のミドルスリーパー
- 睡眠時間の長さだけではなく、深睡眠が大事
- 深睡眠は寝る90分前の入浴でよくとれる
- 6時間未満の睡眠では脳にダメージがあるとの報告もあり
- ショートスリーパーは遺伝の場合が多い
- 一般的には加齢によって眠れる時間は短くなっていく
睡眠時間についてまとめるとこのようになります。
正直、睡眠時間に関しては書籍によっても主張が異なり、「ミドルスリーパーでも訓練すれば6時間睡眠でもいける」といった内容や、「6時間睡眠では脳にダメージがある」など、どちらが正しいの?となる記述もありました。
ですが、総合すると現在の研究で分かっている範囲では私たちの8割はミドルスリーパーなので、7時間は寝ておいたほうが良いという結論になりそうです。
この記事を最後までお読み頂きありがとうございます、睡眠時間に悩む方の少しでも参考になれば幸いです。