「不思議な夢」をみるのはノンレム睡眠のあとの「レム睡眠」のタイミングだということがわかっています。
レム睡眠中の大脳は覚醒時(起きているとき)とほぼ同じ状態にある、ということまで解明されているようです。
ノンレム睡眠のときにはぼやっとしてはっきりしない夢、レム睡眠のときには「奇妙な夢」「喜怒哀楽」や「不安」を感じる夢などをみます。
さまざまな研究から、レム睡眠のときにみる夢は外部からの影響、精神的、身体的不調などの影響を大きく受けるということがわかってきました。
では、レム睡眠のときに見る夢の内容はどのような影響を受けてみるのか、その内容が決まるのか、詳しく見ていきましょう。
目次
寝る体勢によってみる夢が違う
うつ伏せ、左向き、右向き…いい夢をみやすいのは?
香港樹仁大学の心理学者であるカルヴィン・カイ・チュン・ユ先生は「寝相」と「夢」の関係を調べています。
研究によると、700人に聞き取りをした結果、うつ伏せ寝では「性的な夢」「有名人と恋人関係になる夢」「自分が裸になる夢」をみる確率が高かったそうです。
ちょっとセクシーな夢をみることが多いといううつ伏せ寝。
さらに、トルコの研究者の研究では、左向きで寝る人よりも、右向きで寝る人のほうが「幸せ」「希望」などと結びつく、いわゆるよい夢をみることが多いとわかったとのこと。
右向き体勢のほうが睡眠の質も高く、悪夢をみる量が少なかったそうです。
体調不良ごとにみやすい夢が違う
心臓が弱い人、肺が弱い人、胃腸が弱い人が見やすい夢は?
心臓が悪い人は「短くて、恐ろしい夢を見る」ことが多いという研究があります。
肺機能が弱い人は「圧迫」「逃亡」などの夢を見やすく、胃腸などの消化器系が弱っている人は「食べ物を吐く夢」を見ることが多いそうです。
食べたもので夢が変わる?
食べたチーズの種類によって夢の内容が変わった!
英国チーズ委員会は200人にチーズを食べてもらい、その晩にみた夢を調べる研究を行ったことがあります。
日本ではあまりなじみがないチーズもありますが、結果は以下のようになりました。
「スティルトンチーズ」を食べた人の夢は「へんてこな夢」
「チェダーチーズ」を食べた人の夢は「有名人の夢」
「レッドレスターチーズ」を食べた人は「自分の過去の夢」
「ブリ―チーズ」を食べた人は「酔っぱらって犬と話した夢」をみたそうです。
同じ「チーズ」でも種類によって夢への影響がここまで違うとわかりました。
いい匂いでよい夢をみるとの研究も!
本人にとって心地よいと感じる匂いが夢に影響を及ぼす
2009年にマンハイムの精神医学中央研究所のミヒャエル・シュレーデル先生が「バラの香り」と夢の関係について調べた結果、人間は「心地よい」と感じる香りがしたときのほうが夢の内容は楽しくなると発見したそうです。
夢見に悪影響を及ぼしやすい要素は?
空腹感、満腹感、喉の渇き、排尿、排便などの生理的欲求
体の不調部位によって夢がかわってくることは初めにお伝えしました。
ほかにも、悪夢や不快な夢をみやすい要素があります。
「満腹感」
眠りにつく前に何か悪いものを食べた不快感(口、胃、腸に不快な感覚が残っている)といやな夢を見る。
「尿意・便意」
いっぱいになった膀胱、直腸は「排便・排尿行為」と関係した視覚的イメージの現れる夢をもっともよく引き起こすといいます。
強い空腹感で眠ると、かなりの確率で飲食に関係した視覚的シーンの登場する夢を引き起こすという研究もあるようです。
このように、精神的な影響、身体的な影響、外的な影響などによって「夢」の内容は変化します。
決まって不快な夢をみる、悪夢が続く…などがありましたら、眠りにつく体勢、体の不調などに目を向けてみてください。
最後まで読んでいただきどうもありがとうございました。
「よく眠るための科学が教える10の秘密」文藝春秋 リチャード・ワイスマン博士著
「眠りとはなにか」ブルーバックス 松本淳治 著
「夢のサイエンス」青木書店 シェポヴァリニコフ 著
「Newtonライト2.0 睡眠」 ニュートンムック