「睡眠学習ができたらいいのに」と思ったことがある方はいませんか?寝ながらテープを流して記憶をするというような方法は難しいかもしれませんが、睡眠と記憶の関係を利用すると効率よく学習ができるのだそう。そこで今回は、学習を効率化させる睡眠方法をご紹介しましょう。忙しい学生さんや社会人は特に必見ですよ。
目次
睡眠が記憶を定着させる
とある高校の先生の調査によると、生徒の睡眠時間と成績には相関関係が見られたのだそう。睡眠時間を削って勉強した生徒の方が成績が良かったのでしょうか?実はその逆で、しっかりと睡眠をとっていた生徒ほど成績が良かったのだそうです。
また東大生を対象に行った調査によると、東大生の平均睡眠時間は6時間35分だったといいます。大学生というと夜更かしをするイメージがありますが、東大生はしっかりと睡眠をとっているということがわかりますね。
実は最近の様々な研究で、睡眠と記憶には大きな関係があるということがわかってきています。起きているときに体験したことや学習したことは、睡眠中に脳の中で整理されることで初めて定着するのだそうです。睡眠時間が十分でないとこの記憶の定着がうまくいかず、学習内容が身につかない可能性があると言われています。
「そんなこと言われても、毎日忙しくて睡眠時間を削らないと勉強の時間が取れない」という方もいるでしょう。その場合、短時間の昼寝も記憶を定着させる効果があることもわかっています。ザールラント大学の研究によると、単語の学習の後に昼寝をしたグループと昼寝をしなかったグループを比較すると、昼寝をしたグループの方がより多くの単語を記憶できていたのだそうです。
いずれにしても学習の後の睡眠が、記憶をしっかりと定着させることがわかりますね。「時間が無いから学習を効率よく行いたい」という人ほど、睡眠時間は削らずしっかり寝る必要がありそうです。
ではなぜ睡眠が記憶を定着させるのでしょうか?その仕組みは長年謎に包まれていました。しかし最近その一部を、アメリカのブラウン大学の研究が明らかにしました。それによると、ノンレム睡眠中に学習を反復しレム睡眠中に記憶を定着させていることがわかったそう。記憶の能力を十分に発揮するためには、睡眠中にノンレム睡眠とレム睡眠のどちらも行われている必要があるようです。このことから、ただ長く眠ればいいというわけではなく、質の良い睡眠をとることも、学習の効果を発揮させるポイントだと言えそうです。
睡眠不足は学習に大敵
では睡眠不足は学習にどのような影響を与えるのでしょうか?睡眠不足だと、多くの方がいつもよりもパフォーマンスが落ちると感じるでしょう。これはもちろん気のせいなんかではありません。
とある研究によると、17時間以上眠らずに起きていると反応速度が最大50%も落ちることがわかったそう。これはビールを1杯飲んでほろ酔いの状態よりも低い値です。さらに徹夜をすると、ビールの大瓶を1本飲みきったような状態になってしまうといいます。
また睡眠が不足すると、脳が十分に休めないため集中力や思考力の低下も招くそう。テスト前に徹夜をする方は多いですが、百害あって一利なしかもしれませんね。
学習効率を上げる睡眠の方法
学習効率を上げるには、睡眠の仕方やタイミングが重要です。以下に効果的だとされる具体的な睡眠方法をいくつか挙げましたので、参考にしてみてくださいね。
睡眠の直前に学習する
書籍「ずるい暗記術 偏差値30から司法試験に一発合格できた勉強法」によると、就寝前の30分から1時間に特に覚えたい内容を確認しておくことで、記憶が定着しやすくなるそう。なお学習後にスマホを見るなど余計な刺激を入れず、すぐに就寝することがポイントです。
起床後すぐに復習する
書籍「大学受験の神様が教える 記憶法大全」によると、朝は睡眠により脳が整理された状態なので、記憶しやすくなっているのだそう。そのため前日に覚えた内容を朝に復習することで、より長期記憶として残りやすくなるといいます。朝早く起きて勉強をする方がいますが、これは理にかなった方法だったのですね。
睡眠中の復習も効果的
睡眠中にテープなどを流して記憶するといった、多くの方が思い浮かべるような「睡眠学習」は、様々な研究により効果が否定されています。しかし最新の研究によると、その日学んだ知識を睡眠中に音声で流すと、記憶の定着に効果的なのだそう。英単語など、思考力を必要としない単純な暗記に特に効果を発揮すると言われています。
学習の後6時間以上睡眠をとる
先ほど記憶の定着には、レム睡眠、ノンレム睡眠の両方が必要だと説明しました。ではどれぐらいの時間睡眠をとると良いのでしょうか。甲南大学の准教授前田多章さんは、十分な記憶の定着を望むなら、個人差はあるものの、最低でも6時間の睡眠が必要だと述べています。
昼寝をする
なかなか夜にまとめて睡眠時間を取れないという方は、学習の合間にこまめに昼寝をすることも効果的です。学習をして寝ることを繰り返すと、記憶の定着に効果があることが研究によりわかっています。ポイントは、学習の直後に寝ることと、寝る直前に覚えた内容を、起きた後にすぐ復習すること。ただ昼寝をするだけでは効果がありませんのでご注意を。
自分に合った睡眠方法で学習効率を上げよう
睡眠と記憶には深い関係があるようですね。ただその仕組みは未だ解明されていないところもあり、専門家によって多少見解が異なるようです。とはいえ、記憶の定着に睡眠が欠かせないという点は間違いなさそう。また学習直後に睡眠し、起床後に復習するとより効果的だという点も、多くの専門家の間で見解が一致しています。自分の生活サイクルに合った睡眠方法を取り入れ、学習効率をアップさせてくださいね。