今回の難読漢字は3つです。
「辷る」「賃う」「勾引かす」全部読めますか?
目次
最初の難読漢字は「辷る」!
書いている途中でやめたような漢字ですが、これが完成した形です。
「辿る」や「辻」に似ていますね…
ヒントを見てみましょう!
「辷る」の読み方のヒントは?
道が凍っていたので、足が「辷って」転んだ。
調子に乗って、つい口が「辷る」。
足を踏み外して、急斜面を辷り落ちた。
「辷りどめ」に受けた私立高校に入学した。
よく使う言葉ばかりなので、もうお分かりですね!
正解は…
正解は「すべる」です!
受験シーズンは禁句ですね。
「辷る」には、なめらかに進む、失敗する、しりぞくといった意味があります。
「滑る」という漢字の方が身近かもしれません。
「辷る」と「滑る」の意味は同じですが、明確な違いがあります。
「滑」には「カツ」「コツ」などの音読みがありますが、「辷」は音読みがありません。
どうしてでしょうか?
「辷る」は国字です!
「辷る」に音読みがないのは、国字だからです。
国字とは、中国から伝わった漢字ではなく、日本国内で独自に作られた漢字です。
そして国字には、訓読みしかない場合が多いのです(全てではない)。日本固有の漢字なので「和字」とも呼ばれ、もちろん中国では通じません!
せっかくの国字ですから、もっと「辷る」を使ってみてはいかがでしょう?
2つ目の難読漢字は「賃う」
「貸」に似ていますが、「賃」です!
賃貸物件の「賃」ですが、もちろん「ちんう」とは読みません。
「賃う」の読み方のヒントは?
1つ目のヒントは「賃」という漢字です。
「賃金」という言葉が浮かびませんか?
賃金といえば…仕事ですね! 答えは仕事と関連があります。
2つ目のヒントは例文です。
人手が少なので、あと数人賃うことにした。
あそこにいるのが僕の賃い主です。
社長に気に入られて、賃われました。
正解は…
正解は「やとう」!
「賃い主」が仕事をした人に支払うお金が「賃金」です。
「やとう」には、「賃う」「雇う」「傭」「倩」4種類の漢字があります。
「賃」を使った熟語
「賃」を使った熟語で、珍しい言葉を紹介しましょう。
3文字熟語:木賃宿(きちんやど)。自炊システムの江戸時代の宿屋。調理用の「たきぎ」代を「木賃」と呼んだ。
4文字熟語:横断賃金(おうだんちんぎん)。同一の仕事ならば、どこで就労しても同じ賃金がもらえる仕組み。欧米では一般的な賃金ルール。
5文字熟語:賃金基金説(ちんぎんききんせつ)。古典経済学の用語。
6文字熟語:朝駆けの駄賃(あさがけのだちん)。「朝早く走らせる馬は元気がよく、少しくらいの荷物はなんとも思わない」。たやすく物事が進むというたとえ。
最後の難読漢字は「勾引かす」
最後は「勾引かす」です。
勾玉の「まが」ですが、違う読み方をします。
「引かす」も、「ひかす」とは読みません。
「勾引かす」の読み方のヒントは?
老人を「勾引かす」なんて、犯人は人間じゃない。
庄やの娘が蛇に「勾引かされた」そうだ。
あの山は、夜に入るとキツネに「勾引かされる」らしい。
ヒントを見る限り、あまりポジティブな意味ではなさそうです…
では正解を見てみましょう!
正解は…
正解は「かどわかす」でした。
普段からよく使う言葉…ではありませんよね。
「かどわかす」とは、人をだまして、強引に連れ去ることを意味します。言いくるめてだますのが「たぶらかす」なのに対して、「かどわかす」は実際にさらっていくことです。
「勾引かす」以外には、「拐かす」という漢字も使われます。「拐」は誘拐のカイです。
「勾引かす」のルーツは?
日本の古語には、「だまして取る」「あざむいて誘う」という意味を持つ「かどふ」があります。「かどわかす」の語源は、この「かどふ」だといわれています!
江戸時代の幕府は、「勾引かし」を死罪と定めて厳しく罰したそうです。当時の「勾引かし」は、主に人身売買、いわゆる「人買い」でした。
時代は変わっても、社会的弱者が狙われるのは同じなのかもしれません。