「レジリエンスに鍛え方ってあるの?」
「レジリエンスを高める方法があれば知りたい!」
「レジリエンス・トレーニングってどんなことをすればいいの?」
この記事を読まれているあなたはこんな風にお悩みかもしれません。
2014年のクローズアップ現代で特集が組まれたことをきっかけに幅広く多くの層に知られるようになったレジリエンス。
なんとなく知ってはいるけど鍛え方が分からないなんて方は多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、レジリエンスを高める方法を解説します。折れない心を作りたい方はじっくりとお読みください。
目次
レジリエンスを高めるためには3段階必要
- 底打ち
- 立ち直り
- 教訓化
日本でのレジリエンス第一人者といわれる久世浩司さんによると、レジリエンスを高めるためには上記3つの段階を順に踏む必要があるとされています。
それぞれどういったものか詳しく見ていきましょう。
レジリエンスを高める3段階①:底打ち
底打ちとは、ある出来事によって生まれたネガティブな感情が底をつくこと。
レジリエンスが低いと、いつまでもいつまでもネガティブ感情が渦を巻き、なかなか底打ちすることができません。
ですので、レジリエンスを高めるためにはいち早く底打ちする必要があります。
レジリエンスを高める3段階②:立ち直り
立ち直りとは、文字通りネガティブな感情から立ち直ること。
レジリエンスの核の部分です。
立ち直り力が強ければ、一度ネガティブな感情に陥ってもすぐに前向きに切り替えることができます。
「底打ち」と「立ち直り」は、ボールに例えると分かりやすいかもしれません。
- あなたの感情=ボール
- きっかけの出来事=ボールが手から離れること
- 底打ち=ボールが地面につくこと
- 立ち直り=ボールが跳ね返ること
レジリエンスの高い人のボールは空気がパンパンに膨らんでいて、勢い良く手から離れるため落ちてもすぐに跳ね返ってきます。
一方でレジリエンスの低い人ボールは空気が抜けていて、手からゆっくりと落ちるためなかなか地面につきませんし、地面についた後も跳ね返ってきません。
レジリエンスを高める3段階③:教訓化
教訓化とは、上記の「底打ち」→「立ち直り」の経験を自らの教訓とすることです。
どんな時に気分が沈んで、どうやって立ち直ってきたのかをしっかりと整理することで、似たような場面に遭遇した際に冷静に対処することができるようになります。
さて上記3つの段階ですが、それぞれフェーズごとに鍛え方があります。
詳しくは下記でお伝えします。
レジリエンス「底打ち」の鍛え方
- 感情のラベリング
- 思考への反論
第1段階の「底打ち」を鍛えるためには上記2つの方法が有効です。
鍛え方を細かく見ていきましょう。
レジリエンス「底打ち」の鍛え方①:感情のラベリング
底打ちの力を育てるためには、まず感情のラベリングをしましょう。
ラベリングとは、言葉にして表すことです。
「イライラしている」「絶望している」「最悪」など、文字にしてメモをしましょう。
感情というのは目に見えないからこそ、言葉にして表すことがとても大切になってきます。
レジリエンス「底打ち」の鍛え方②:思考への反論
先ほどの感情のラベリングを基に、一度頭に浮かんだ思考に対して反論をしましょう。
今回でいう“思考”とは、発生した出来事と、感情の間に浮かぶ考えのこと。
例えば下記のような形です。
- 出来事:人とぶつかってアイスを落とした
- 思 考:私がアイスを落とすようにわざとぶつかられた
- 感 情:最悪。イライラする!
- 行 動:文句を言い続ける
この、思考の部分に対して自ら反論をします。そうすると、その後の感情や行動に変化が表れます。
- 出来事:人とぶつかってアイスを落とした
- 思 考:私がアイスを落とすようにわざとぶつかられた
- 反 論:そんなはずはない。ぶつかった相手の服も汚れていた
- 感 情:アイスが落ちたのは仕方がない
- 行 動:新しくアイスを買いなおす
このように思考に反論を加えることで、いち早くネガティブ感情の渦から抜け出すことができるようになります。
さて、ここまでは底打ちの力をはぐくむ方法を紹介してきました。
ここからは、第2段階である「立ち直り」の鍛え方を4つお伝えしていきます。
レジリエンス「立ち直り」の鍛え方
- 代理体験
- 褒めてもらう
- 過去の成功体験の書き出し
- 小さな目標達成
- 恩人に感謝の手紙を書く
上記5つが、第2段階の「立ち直り」を鍛えるのに効果的です。
詳しい方法を見ていきましょう。
レジリエンス「立ち直り」の鍛え方①:代理体験
立ち直りの力を強くするためには、代理体験をしましょう。
代理体験とは、他者の成功体験を観察することで、自らも成功するイメージを持つこと。
自分に似た境遇や性格であればあるほど有効です。
例えば同じ年に入社した同僚が転職してキャリアアップしているのを見たら、「僕も転職すれば成功するかも!」と感じる、など。
成功者の行動や姿を、よく観察するようにしてみてください。
レジリエンス「立ち直り」の鍛え方②:褒めてもらう
折れそうな心を立ち直らせるためには、他人に褒めてもらうことが手っ取り早く有効です。
褒めたり励ましたりしてもらうことで自己効力感が高まるからです。
ですので、普段から褒めてもらえる、認めてもらえるような環境に身を置きましょう。
もしくは気が引けるかもしれませんが、自ら「褒めてください」「励ましてください」と言うのも一つの手です。
レジリエンス「立ち直り」の鍛え方③:過去の成功体験の書き出し
立ち直りを行うためには、過去の成功体験を思いつく限り書き出しましょう。
どんなに小さなことでも構いません。
例えば「さりげなくした発言に笑ってもらえた」、「友達を手伝ったらありがとうと感謝してもらえた」、「作ったご飯を美味しいと褒めてもらった」など。
もちろん「全国コンクールで入賞した」など大きな成功体験でもOKですよ。
成功体験を書くことで、「立ち直り」に重要な自己効力感を高めましょう。
レジリエンス「立ち直り」の鍛え方④:小さな目標達成
レジリエンスの「立ち直り」を簡単に鍛える方法として、“小さな目標を立てて達成する“といった方法があります。
自己効力感を高める手法の1つです。
先ほどと同じように、どんな小さな目標でも構いません。
例えば「毎日出社する」、「読まなくても良いから毎日本を開く動作をする」、「1日200歩は歩く」など。
1つ1つ目標を書き達成するたびに丸を付けてあげると、成功を自覚しやすくなりより効果的になりますよ。
レジリエンス「立ち直り」の鍛え方⑤:恩人に感謝の手紙を書く
恩人に向けて感謝の手紙を書くことで、立ち直り力を高めることができます。
感謝の気持ちは、ネガティブな感情を打ち消すことができるからです。
手紙を書くのがこっ恥ずかしいという方は、日記をつけるのでも良いでしょう。
具体的には、「分からない点を何度も先輩が教えてくれた。ありがとう」「着ていた服を褒めてもらえた。ありがとう」「親から近況確認の連絡が来た。ありがとう」などといった形で感謝の気持ちを日記に記しましょう。
1日3つは書くようにすると良いですね。
以上が「立ち直り」を鍛える5つの方法でした。
最後に「教訓化」の鍛え方をお伝えします。
レジリエンス「教訓化」の鍛え方:逆境グラフの記入
レジリエンスを鍛えるためには逆境グラフの記入が良いとされています。
上記が逆境グラフの記入例です。
縦軸に心の充実度、横軸に年齢を入れています。
心理状態の変化を線で記入したら、充実度が落ちたときはなぜ落ちたのか、そこからどうやって立ち直ったのか、その時の感情や行動をポイントごとに記入していきましょう。
そうすると、自らがどうやってネガティブ感情から立ち直ったのかを知ることができ、教訓化することができます。
また、周囲の支えや自らの強みに気づくきっかけにもなるでしょう。
レジリエンスを高める方法についてまとめ
- レジリエンスを高めるためには「底打ち」「立ち直り」「教訓化」の3段階がある
- 底打ちの鍛え方は「感情のラベリング」と「思考への反論」の2つ
- 立ち直りの鍛え方は「代理体験」「褒めてもらう」「過去の成功体験の書き出し」「小さな目標達成」「恩人に感謝の手紙を書く」の5つ
- 教訓化の鍛え方は「逆境グラフの書き出し」
レジリエンスを高める方法についてまとめると上記のようになりました。
ストレス下に置かれることが多い方こそ実践してみてください。
うまくストレスに対応でき、より良いパフォーマンスが発揮できるようになるはずですよ。
この記事が、レジリエンスを高める方法を知りたい方の参考になれば幸いです。