カフェインの摂取は睡眠にどのような影響が与えるのでしょうか?
2018年に発表されたこちらの論文に基づいて解説していきたいと思います。
Effects of caffeine on sleep quality and daytime functioning
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30573997/
目次
パフォーマンスに対するカフェインの相反する効果
カフェイン(特にコーヒー)は、世界で最も広く消費されている刺激物の1つで、アメリカの成人の殆どがほぼ毎日カフェイン入りの飲料を摂取しています。
カフェインは持久力と集中力の両方を向上させると考えられおり、パフォーマンスを向上させる可能性があります。
その一方で、副作用として眠りづらくなるという効果が知られており、逆にパフォーマンスを低下させるリスクがあります。
この記事では、カフェインが睡眠に及ぼす影響を解説します。
カフェイン摂取による睡眠不足
カフェインを昼間に摂取すると、翌日の夜には6-スルファトキシメラトニン(メラトニンの主な代謝物)が減少し、これが睡眠が妨げられるメカニズムの1つとなります。
最初の日中にカフェイン摂取を賢くコントロールしないと、睡眠不足に陥り、その後の日中にパフォーマンスの低下が起こります。
睡眠不足は、注意力、覚醒度、警戒心、認知・精神運動反応の速度の低下など、認知機能の著しい低下につながることが知られています。
実験室での研究によると、夜間の睡眠時間がわずか90分不足しただけで、日中の客観的な覚醒度が3分の1にまで低下することがわかっています。
コーヒーで眠れなかった翌日にコーヒーを飲んでも眠気覚ましの効果はあるのか?
コーヒーで眠れなかった翌日にコーヒーを飲んで眠気や疲れを飛ばそうとする方もいらっしゃると思います。
Orbetaらによる15,686人のアメリカ人青年を対象とした大規模な横断研究によると、カフェインの摂取量が多い学生は、摂取量が非常に少ない学生に比べて、朝に疲れている可能性が高いことがわかりました。
これは、単にカフェイン摂取から来る睡眠不足によるものなのでしょうか?
カフェインは疲労している人が摂取することが多く、同時にそもそも疲労の原因になっているとも言われています。
カフェインの使用による睡眠不足のパフォーマンス低下の回復については、研究の制約上の問題点があり、結論が出ていません。カフェインと睡眠、日中の機能との複雑な関係を明らかにするためには、特にカフェイン非摂取者を対象としたさらなる研究が必要です。
カフェイン摂取は就寝の4時間前までに
やはり、眠る前に摂ると入眠が困難になったり中途覚醒を引き起こし易くなるようです。
良質な睡眠をのために、カフェインを多く含む飲料(コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、コーラ、チョコレート、エナジードリンクなど)を摂ることは、就寝予定時刻の4時間以上前までで止めておきましょう。
出典 https://www.nakano-med.or.jp/topics/2019/02.php