退職祝い

退職祝いに熨斗(のし)は必要?正しい選び方を解説します!

お世話になった上司や仲の良かった同僚、頑張っていた後輩や家族・友人など、退職祝いのプレゼントを贈る機会は意外に多いものですよね。感謝の気持ちや今後の活躍へのエールを込めて、記憶に残る素敵なプレゼントを贈りたいものです。

しかし、いざ退職祝いを贈ろうと思ったとき、熨斗(のし)は必要なのか?正しい書き方は?水引きの結び方は何が正解なのか?と言った、さまざまな疑問点が浮かび上がってきます。

退職理由によっても、熨斗(のし)の選び方や書き方などが異なりますので、混乱してしまうこともあるでしょう。間違えてしまえば、恥ずかしい思いをするだけでなく、相手に対して失礼に当たる場合も。

退職は、人生の新たなスタートともいえる大切な門出です。日本由来のマナーをしっかりと守り、相手に喜んでもらえる退職祝いのプレゼントを贈りたいと考えますよね。この機会に、熨斗(のし)が必要な理由や正しい選び方などをマスターしておきたいものです。

そこで今回の記事では、退職祝いに熨斗(のし)は必要なのか?退職祝いに熨斗(のし)が必要な理由や水引の表書きなどについて詳しく解説していきます。退職祝いを贈ろうと思っている方の参考になると嬉しいです。

退職祝いに熨斗(のし)が必要な理由は?

退職祝い 熨斗(のし)退職祝いに熨斗(のし)は必要です。熨斗(のし)が必要になる最大の理由は「丁寧さ」が伝わるからとされています。退職理由は人によってさまざまですが、感謝の気持ちや「お疲れ様でした」という気持ちは、熨斗(のし)を付けることで、より一層伝えることができます。

退職祝いに熨斗(のし)を付けた方が良いと言われている2つ目の理由は「誰から贈ってもらったプレゼントなのかわかるようにするため」です。もらう側は、退職祝いのプレゼントを複数もらう可能性が高いですよね。

後になって、誰からもらった退職祝いのプレゼントなのかわからなくなってしまわぬよう、相手への配慮のために熨斗(のし)を付けた方が良いとされています。熨斗が付いていれば時間が経過しても、名前が記載されていますので、一瞬で誰からいただいたプレゼントなのかを把握できるのです。

退職祝いのプレゼントに熨斗(のし)が必要な理由3つ目は、社会人としてのマナーが挙げられるでしょう。退職祝いには、熨斗(のし)を付けて渡すことが一般的となっています。関係性や退職理由に関係なく「礼儀を尽くす」という意味をもたらしてくれるのです。

ただし、例外があることも覚えておかなければなりません。退職祝いのプレゼントであっても、熨斗(のし)が必要ない場合もあります。それは「生もの」を贈る場合です。生ものを贈る際に熨斗(のし)を付けてしまうとマナー違反になってしまうので気をつけましょう。

熨斗(のし)は本来、鮑(アワビ)が由来となっており、鮑(アワビ)には「生もの」という意味も含まれています。したがって、生ものに熨斗(のし)を付けてしまうと「二重」のお祝いとなってしまうのです。

退職祝いの贈り物で「生もの」を贈る際には、熨斗(のし)は付けずに「水引き」のみの掛け紙にするよう注意しましょう。

【理由別】退職祝いにふさわしい熨斗(のし)の水引きと表書きは?

一言で「退職祝いのプレゼント」と言っても、人によって退職する理由はさまざまですよね。退職理由によって、水引きと表書きの書き方は異なります。相手に失礼にならぬよう、正しいマナーで退職祝いのプレゼントを贈りたいものです。

また、いかなる退職理由であっても、共通するのが筆記用具。表書きに使用するのは「黒の筆ペン」もしくは「黒色のサインペン」にしましょう。ボールペンで書くことは、失礼に当たったりマナー違反になりますので要注意。

ここからは、退職する理由別による熨斗(のし)の水引きと表書きについて紹介していきます。

退職祝いの熨斗1.定年退職

退職祝い 熨斗お世話になった上司や、両親の定年退職の際に、今までの感謝を込めた退職祝いのプレゼントを贈る方も少なくないでしょう。定年退職にふさわしい水引きは「紅白の蝶結び」となります。

定年退職は1回限りのことですので、水引きを選ぶ際に「結び切り」だと考える人も多いようです。しかし、定年退職は「第二の人生のスタート」とも言える新たな門出という意味合いも込めて「蝶結び」が基本となっています。

定年退職の表書きには、次の言葉が一般的ですので参考にしてください。

  • 御贐(おはなむけ)
  • 御祝(おいわい)
  • 御礼(おれい)
  • 謹呈(きんてい)
  • 御退職祝

定年退職する年代の方は、古くからのしきたりやマナーを熟知している方が多いものです。表書きに「贈呈(ぞうてい)」を使用してしまうと、マナー違反になる場合も。「謹呈」と「贈呈」は似たような意味合いになっていますが「贈呈」は、目上の方や年上の方には使わない方が良いとされている言葉です。

失礼のないよう、水引きや表書きに細心の注意を払うようにしましょう。

退職祝いの熨斗2.転職や起業

退職祝い 熨斗転職や起業・独立などで退職する方にふさわしい水引きは「紅白の蝶結び」になります。転職や起業・独立での退職は、今後の活躍への励ましや応援の気持ちが伝わるような表書きにすることが大切です。

転職や独立・起業によって退職する人への退職祝いの表書きには、以下の言葉がおすすめ。

  • 御贐(おはなむけ)
  • 御礼(おれい)
  • 御餞別(おせんべつ)

特に「御贐(おはなむけ)」は、今後の活躍への激励の気持ちが込められているので、退職祝いのプレゼントを受け取る相手にとっても大変喜ばれる言葉になっています。

退職祝いの熨斗3.結婚退職

退職祝い 熨斗退職理由が結婚退職の場合、水引きは必ず「紅白の結び切り」を使用しましょう。退職祝いのプレゼントに使われる水引は「紅白の蝶結び」が一般的になっています。しかし、結婚退職に限っては「2度と繰り返さない・1回限り」という意味を込めて「結び切り」を選ぶのがマナー。

蝶結びではなく、結び切りを選ぶのは「1度結べば、簡単にほどけることはない」という意味があるからです。結婚退職する方に贈る退職祝いに最適の水引きですね。「結び切り」は、結婚退職以外にも「快気祝い」などの際に用いられます。

また、結婚退職の水引きは「結び切り」以外にも「あわじ結び」を使用しても問題ありません。「あわじ結び」には、末永く付き合うという意味があり、お祝い事の水引きとして広く使用されています。

結婚退職される方への表書きには、次の言葉が一般的ですので参考にしてください。

  • 御結婚祝
  • 祝御結婚
  • 寿
  • 御礼

結婚退職の場合「退職祝いと結婚祝いのどちらを優先すべきなのか?」と悩んでしまう方も多いかもしれません。この時「結婚祝い」を優先するのが一般的となっていますので、表書きには上記の4つの言葉から選ぶと良いでしょう。

退職祝いの熨斗4.出産退職

退職祝い 熨斗出産退職にふさわしい水引きは「紅白の蝶結び」となります。出産は、とてもおめでたいことですので「何度も繰り返してよい」という意味を込めて「紅白の蝶結び」を用いるのが一般的です。

退職理由が出産退職の時に注意しなければならないのが、表書きのマナーになります。結婚退職の時と同様に「出産祝い」と「退職祝い」どちらの名目で贈れば良いのか悩まれるかもしれません。

この場合は「退職祝い」としてプレゼントを贈るようにしましょう。出産は危険と隣り合わせだったり、万が一の事態が起こらないとも限りません。赤ちゃんが生まれる前に出産祝いを渡すのはマナー違反になります。

表書きの言葉にも「祝」の字は使わないよう注意が必要です。出産退職の方への表書きには「御礼」が最もふさわしいと言えます。

退職祝いの熨斗5.病気や体調不良によるもの

退職祝い 熨斗病気や体調不良などのやむを得ない理由から退職する方も少なくありません。出産退職と同様「祝」の文字は使わないよう気を付けましょう。今までの感謝の気持ちを込めて、表書きには、以下の言葉がおすすめです。

  • 御礼
  • 感謝
  • 謹呈

退職理由がはっきりとわからない場合には「御礼」と書くのが一般的になっています。退職理由が病気や体調不良の場合、水引きに「紅白の蝶結び」を選ぶのが心苦しく感じることもあるはずです。

気が引ける際には、無地の短冊を使用して、表書きを行う方法を選ぶと良いでしょう。

退職祝いの熨斗6.会社都合(リストラや早期退職)のよるもの

退職祝い 熨斗退職理由の中には、自分の都合だけではなく「会社都合」による場合もあるでしょう。会社の都合によって退職する時でも、水引きには「紅白の蝶結び」を使って問題ありません。しかし、病気や体調不良の時と同時に「気が引ける」ことも考えられます。

紅白の蝶結びが心苦しく感じる際には、無地の短冊に表書きしたものを贈っても失礼に当たりません。会社都合の退職の場合、表書きにふさわしい言葉は下記の通りです。

  • 御礼
  • 心ばかり

自分の意志ではないことも考慮し、会社都合の退職の場合にも「祝」の文字を使用することは避けましょう。また「心ばかり」は、高価な品物を贈るときには適していませんので、贈り物の値段によって使い分けてくださいね。

退職祝いの熨斗(のし)で覚えておきたい5つのマナー

続いては、退職祝いの熨斗(のし)について、覚えておきたいマナーを順番に紹介していきます。せっかく気持ちを込めたプレゼントを贈っても、マナーを知っておかなければ贈る相手に失礼に当たってしまうこともありますので、しっかりと確認してくださいね。

退職祝いの熨斗(のし)マナー1.水引きの本数

退職祝い 熨斗退職祝いを贈る際、水引きの本数に注意しましょう。退職祝いの熨斗(のし)の水引きには、一般的に「紅白の蝶結び」を使用します。その時、水引きの本数にも気をつけなければなりません。退職祝いを贈る場合は「5本」または「7本」の水引きを使いましょう。

水引きの本数はそれぞれに意味を持っており、現在使用されている水引きの多くは「3本」「5本」「7本」「10本」となっています。基本は「5本」の水引きです。偶数は「割り切れる」「切れる」ということから縁起が良くないとされています。

しかし「10本」の水引きに限り、5本の水引きを倍にしていると捉え「二重陽結び」として、豪華さを表す場合に用いられ、結婚祝いや婚礼に関する行事などで広く使われているのです。

5本の水引きが基本となっていることから、7本の水引きは「5本を丁寧にしたもの」と認識されています。退職祝いの水引きで迷ったときには、7本の水引きを使用するのが良いでしょう。

退職祝いの熨斗(のし)マナー2.表書き「贈り主」の書き方

退職祝い 熨斗退職祝いの熨斗(のし)の表書きは、上段に「御礼」や「御贐(おはなむけ)」などの言葉を書き、下段には贈り主の名前を記入します。この時、贈り主の人数によって書き方が異なりますので注意しましょう。

個人で(1人)で退職祝いの贈り物を渡す場合は、表書き下段の中央に、フルネームで名前を書きます。会社全体から、退職祝いのプレゼントを贈る場合は、表書き下段の中央に「○○会社一同」と記入。(「○○会社有志」でもOK)

2人以上の複数人で退職祝いの贈り物をする際には、3名までフルネームで書くことができるようになっています。この時、五十音順または目上の人から順に「右から左」に記入するようにしましょう。

4人以上の仲間で品物を贈る場合は、熨斗(のし)の表書き下段に、全員の名前を書くことができません。4人以上の連名で退職祝いを贈る際には、代表者1名のフルネームを表書き下段の中央に記入し、その左側に「他一同」と書くのが正解です。(この時、代表者のフルネームよりも小さな文字で書くのがマナーになります)

退職祝いの熨斗(のし)マナー3.内熨斗か外熨斗か

退職祝い 熨斗退職祝いに限ったことではありませんが、熨斗(のし)を付ける際のマナーでは「内熨斗」と「外熨斗」にも気をつけなければなりません。一般的には「内熨斗」が謙虚で良いとされていますが、退職祝いでは手渡しなのか郵送で贈るのかによって変わってきます。

退職祝いを手渡しで贈る場合には「外熨斗」にし、手渡しができずに郵送となる際には「内熨斗」にしましょう。外熨斗だと、渡した瞬間に贈る目的を確認してもらえるというメリットがあります。

一方で郵送の場合には、のし紙が汚れたり破損するのを防ぐ目的があるため「内熨斗」にした方が良いとされているのです。

退職祝いの熨斗(のし)マナー4.熨斗(のし)とリボンの併用

退職祝い 熨斗退職祝いの熨斗に関してのマナーとして、リボンとの併用はNGになっています。感謝の気持ちやねぎらいの気持ちを表現したくて、熨斗(のし)とリボンの両方を付けてプレゼントを贈りたいということがあるかもしれませんが、マナー違反です。二重にならないよう注意しましょう。

親しかった友人への心ばかりのプレゼントや、あまり仰々しいものにしたくないという場合には、熨斗をせずにリボンだけの包装にしても良いかもしれません。

退職祝いの熨斗(のし)マナー5.表書きの筆記用具

退職祝い 熨斗 退職祝いの熨斗に表書きをする場合、正式な書き方としては「毛筆」を使用して書くことが良いとされています。毛筆で記入するのが難しいときには「黒の太めの筆ペン」を使っても問題ありません。

また、ボールペンや万年筆で表書きを書くことは、受け取る相手に失礼に当たりますので避けるようにしましょう。字体の基本は「楷書体」が望ましく、大きく丁寧に書くことが大切です。

最後に、退職祝いのプレゼントを渡すタイミングですが、退職日当日に渡すことはなるべく控えてください。退職日当日は、挨拶回りがあったり引き継ぎ業務などで慌ただしいことも考えられます。

ベストなタイミングは、退職日の1週間~2週間前。送別会などが行われる場合には、送別会当日に渡すのが良いでしょう。

退職祝いの熨斗(のし)の気になるQ&A一覧

番号 質問
退職祝いののしに書く表書きは?
退職祝いでタブーなものは?
退職ののしに書く言葉は?
退職ののしに「一同」と書く場合は?

ここでは退職祝いの熨斗(のし)についてのよくある質問をまとめました。

1.退職祝いののしに書く表書きは?

退職祝いの熨斗(のし)の表書きは、上段に「御礼」や「御贐(おはなむけ)」などの言葉を書き、下段には贈り主の名前を記入します。この時、贈り主の人数によって書き方が異なりますので注意しましょう。

会社の人たち全員で贈る場合には「〇〇会社一同」、2〜3人で贈る場合には目上の人から右から左へ書きます。また、4人以上で贈る際には、代表者1名の名前と左側に「他一同」と書きます。

2.退職祝いでタブーなものは?

退職祝いのプレゼントとして渡すのに避けたほうがいいものはいくつかあります。

例えば、ハンカチは漢字で「手巾」と書きますが、「手切れ」を想像させるため、お祝いの場にはふさわしくないと言われています。また、目上の人に万年筆やボールペンは「勤勉に」という意味が込められていることから失礼な意味に捉えられることもあります。

他にも、割れ物は「割れて壊れてしまう」と連想されることから、贈り物には好まれません。

3.退職ののしに書く言葉は?

退職祝いの熨斗には、表書きを書きます。上段と下段に分けられ、上段には退職理由別に「御礼」、「おはなむけ」、「寿」といった言葉を書きます。

下段には、送り主のフルネームを書きます。会社の人たち全員で贈る場合には「〇〇会社一同」、2〜3人で贈る場合には目上の人から右から左へ書きます。また、4人以上で贈る際には、代表者1名の名前と左側に「他一同」と書きます。

4.退職ののしに「一同」と書く場合は?

一同と書く場合は、会社や部署の全員から贈る場合と4人以上の連名で贈る場合です。

会社や部署の全員から贈る場合には、「〇〇会社一同」や「〇〇部一同」と書きます。

4人以上の連名で贈る場合には、代表者の名前を真ん中に書き、左側に「他一同」と省略して書くことになっています。

退職祝いの熨斗(のし)のまとめ

退職祝いの熨斗(のし)についてのまとめ
  • 退職祝いには、どんな相手にも熨斗(のし)を付けるのが一般的
  • 退職理由によって表書きの言葉が異なるので注意
  • 出産退職する方には「祝」の文字を入れないように気を付ける
  • 複数人で退職祝いのプレゼントを贈る場合3名までは記入OK!4名以上は「他一同」とする
  • 退職祝いを手渡しする場合は「外熨斗」、郵送する場合は「内熨斗」が一般的

今回の記事では、退職祝いに贈るプレゼントの熨斗(のし)の書き方や水引きの選び方、マナーなどについて詳しく解説してきました。退職祝いのプレゼントを贈る機会は少なくありません。熨斗(のし)についてのマナーを知っておくと、いざという時でも安心ですね。

特に迷ってしまいそうな表書きの言葉は、退職理由によって異なるということがわかりました。相手に失礼に当たらないよう、水引きもしっかりと選ぶようにしましょう。紅白の蝶結びが一般的でしたが、結婚退職に限り「紅白の結び切り」を使用します。

出産退職の方に退職祝いを贈る場合は、退職祝いの表書きに良く使われる「祝」の文字を使用するのは控えるのが良さそうです。退職と出産のお祝いでは、退職祝いを優先することもポイント。退職祝いと結婚祝いの場合は結婚祝いが優先するのが一般的でした。

複数人で1つのプレゼントを贈る際には、3名までは名前を記入し、4名以上に場合は代表者1名の名前の左に「他一同」と書くようにしましょう。熨斗の表書きには毛筆、または筆ペンを使用してくださいね。退職祝いの贈り物を手渡しするときは、すぐに相手にわかるよう「外熨斗」、郵送するときには「内熨斗」のルールも忘れないようにしましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると嬉しいです。

退職祝いのおすすめ人気ランキングはこちら!